そのナチュラルコスメ表示、本物?日本とヨーロッパの基準はこんなに違う
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目次
・ナチュラルコスメの定義とISO 16128
・ISO 16128とは何か、何ではないか
・日本におけるISO 16128の扱い
・ヨーロッパにおける基準:認証団体が課す基準
・日本とヨーロッパ、決定的な違い
・成分表示・指数表示の読み方
・「95%以上」の実際の意味
・よくある質問と誤解
・自分に合ったナチュラルコスメの選び方
・まとめ
はじめに
「自然由来指数95%」「ISO 16128準拠」――ナチュラルコスメのパッケージやオンラインショップで、こうした表示を見かけたことはないでしょうか。なんとなく「厳しい基準をクリアした証」のように感じますが、この数字が何を意味しているのか、正確に説明できる方は多くないはずです。
さらに紛らわしいのは、ヨーロッパでは「オーガニック」「ナチュラル」を名乗るために満たすべき閾値が明確に定められている一方、日本には同じ強制力を持つルールが存在しないという事実です。
この記事では、国際規格であるISO 16128の正体と、ヨーロッパと日本における「表示の重み」の違いを、誤解しやすいポイントを整理しながら解説します。
ナチュラルコスメの定義とISO 16128
ナチュラルコスメの定義に「絶対的な正解」はない
ナチュラルコスメ(自然派化粧品)という言葉自体には、世界共通の一つの定義があるわけではありません。国や認証団体によって、何を「ナチュラル」とみなすかの基準は異なります。
こうしたばらつきを整理し、「自然由来である」ことを客観的な数値で示せるようにするために策定されたのが、国際規格ISO 16128です。
ISO 16128の制定背景
化粧品の自然・オーガニックに関する基準の検討は2010年から始まり、2016年2月にISO 16128 Part 1「原料の定義」、2017年9月にPart 2「原料及び製品の基準」が国際規格として発行されました。それまでメーカー各社が独自の判断で「自然派」「ナチュラル」「無添加」と表示していた状況に対し、国際的に統一された計算方法を示すことが目的でした。
ISO 16128とは何か、何ではないか
ここが最も誤解されやすいポイントです。ISO 16128を正しく理解するには、「何を規定していないか」を知ることが重要です。
ISO 16128が規定していること
ISO 16128は、化粧品原料や製品について、以下の4つの指数をどう計算するかを定めた規格です。
- 自然指数(Natural Index):製品に自然原料が何%含まれるか
- 自然由来指数(Natural Origin Index):自然原料と、自然由来成分中の自然由来部分が何%含まれるか
- オーガニック指数(Organic Index):製品にオーガニック原料が何%含まれるか
- オーガニック由来指数(Organic Origin Index):オーガニック由来成分が何%含まれるか
計算方法には「分子量法」「重量法」「再生可能な炭素法」の3種類があり、メーカーは自社の判断でいずれかを選択して算出します。
ISO 16128が規定していないこと
最も重要な点として、ISO 16128は「この数値を超えればオーガニックコスメと名乗ってよい」という合否基準を定めた規格ではありません。あくまで指数の計算方法を標準化した規格であり、「自然指数〇%以上でなければナチュラルコスメと表示できない」といった閾値そのものは、ISO 16128には含まれていません。
つまり、ISO 16128は「ものさしの目盛りの刻み方」を統一する規格であり、「何メートル以上なら合格」というライン引きは、この規格の範囲外なのです。この閾値をどう設定し、表示の可否をどう判断するかは、各国の業界団体や、COSMOS・ECOCERTのような第三者認証団体に委ねられています。
日本におけるISO 16128の扱い
JCIAによる任意ガイドライン
日本では、日本化粧品工業連合会(JCIA)がISO 16128の制定を受けて、2018年2月に「ISO 16128に基づく化粧品の自然及びオーガニックに係る指数表示に関するガイドライン」を策定しました。このガイドラインでは、指数の種類・数値(%)・水を含むかどうか・「ISO 16128準拠」である旨を製品に表示する際のルールが定められています。
「任意」であることの意味
ここで重要なのは、このガイドラインがあくまで任意の表示ルールであるという点です。
- 指数表示を行うかどうかは、メーカーの自由な判断に委ねられている
- 指数を表示しない場合でも、「ナチュラル」「オーガニック」という言葉自体を使うこと自体は、法的に制限されているわけではない
- 仮に自然由来指数が50%であっても、「ナチュラルコスメ」と名乗ること自体を禁じる法律は存在しない
つまり日本では、ISO 16128に基づく指数表示の「仕組み」自体は存在するものの、「オーガニック」「ナチュラル」という言葉を使うための閾値をクリアする義務がない、というのが実態です。
ヨーロッパにおける基準:認証団体が課す基準
ヨーロッパでは、COSMOSやECOCERTといった第三者認証団体が、ISO 16128的な考え方をベースにしながら、独自の明確な基準を設定し、その基準を満たさない製品には「オーガニック」「ナチュラル」の表示を認めていません。
COSMOS ORGANIC
- 植物成分の95%以上がオーガニック
- 完成品の20%以上がオーガニック成分(水を除く)
- 遺伝子組み換え成分の禁止
- 合成香料・合成着色料・パラベンなどの禁止
COSMOS NATURAL
- COSMOS ORGANICと同様の製造プロセス基準を満たすが、オーガニック成分の割合は問わない
ECOCERT
- 完成品の95%以上が天然由来成分
- 植物成分の95%以上がオーガニック
- 完成品の10%以上がオーガニック成分(水を除く)
これらの団体は、第三者機関による審査・監査を経て初めて認証マークの使用を許可します。基準を満たさない製品が「COSMOS ORGANIC」を名乗ることは、認証制度上できません。
日本とヨーロッパ、決定的な違い
| 項目 | 日本 | ヨーロッパ(COSMOS/ECOCERT等) |
|---|---|---|
| 指数の計算方法 | ISO 16128に準拠(JCIAガイドライン) | ISO 16128の考え方を参考にしつつ独自基準 |
| 数値基準 | 定められていない | 明確にある(例:オーガイック成分95%以上) |
| 「オーガニック」表示の条件 | 制限なし(任意) | 認証取得が事実上必須 |
| 指数表示の義務 | 任意 | 認証取得時は必須(第三者審査あり) |
| 表示に対する法的強制力 | なし | 認証団体による使用許諾制度あり |
この表が示す最大のポイントは、**日本とヨーロッパの違いは「計算方法の有無」ではなく、「その数値を基準として表示を制限する仕組みがあるかどうか」**にあるということです。日本にもISO 16128に基づく計算の枠組みは存在しますが、その数値を根拠に「オーガニックと名乗ってよいかどうか」を審査する強制力のある仕組みが整っていないのが実情です。
成分表示・指数表示の読み方
指数表示を見かけた場合のチェックポイント
ステップ1:どの指数か確認する 「自然指数」「自然由来指数」「オーガニック指数」「オーガニック由来指数」のうち、どれが表示されているかを確認しましょう。オーガニック指数の方が、より厳格な基準を反映しています。
ステップ2:水を含むか含まないかを確認する 化粧水など水分の多い製品では、水を指数計算に含めるかどうかで数値が大きく変わります。表示にはこの点も明記するルールになっています。
ステップ3:「ISO 16128準拠」の表記があるかを確認する この表記があれば、少なくとも計算方法自体は国際規格に沿っていることがわかります。ただし、前述の通りこれは「合格基準を満たした」という意味ではない点に注意しましょう。
認証マークがある場合
COSMOS、ECOCERTなどのロゴがパッケージに記載されている場合は、第三者機関の審査を経て一定の閾値をクリアしていることの証明になります。
「95%以上」の実際の意味
「自然由来成分95%以上」という表示を見たとき、多くの方は「ほぼ天然だから安心」と感じるかもしれません。しかし、正確に理解しておきたい点が2つあります。
1. 「95%」が指すのはどの指数か
COSMOS/ECOCERTの「完成品の95%以上が天然由来成分」という基準と、日本メーカーが独自に表示する「自然由来指数95%」は、算出方法や対象範囲が完全に一致するとは限りません。同じ「95%」でも、計算の前提が異なれば単純比較はできません。
2. 「95%」は認証済みとは限らない
日本国内で「自然由来指数95%」と表示されていても、それがCOSMOSやECOCERTのような第三者認証を取得した数値なのか、メーカー自身が算出した自己申告の数値なのかは、表示だけでは判断できないことがあります。第三者による審査を経ているかどうかは、認証マークの有無で確認するのが確実です。
よくある質問と誤解
Q1:ISO 16128準拠と書いてあれば、認証済みの安心な製品?
A:誤解です。 ISO 16128は計算方法の国際規格であり、それ自体が製品の品質や安全性を認証するものではありません。「準拠」は計算方法が国際基準に沿っているという意味にとどまります。
Q2:自然由来指数が高いほど、必ず良い製品?
A:必ずしもそうとは限りません。 指数はあくまで原料の由来を示す指標であり、肌への効果や安全性を保証するものではありません。成分の種類や自分の肌との相性を合わせて確認することが大切です。
Q3:日本にもいずれヨーロッパのような強制力のある基準ができる?
A:現時点では未定です。 JCIAの任意ガイドラインは存在しますが、法制化や認証必須化の動きについては、今後の状況を注視する必要があります。
Q4:COSMOS認証があれば、ISO 16128の指数も高い?
A:関連はありますが同一ではありません。 COSMOSは独自の審査基準を持つ認証制度であり、ISO 16128の指数計算を参考にしつつも、認証可否の判断基準は認証団体独自のものです。
Q5:指数表示がない製品は基準を満たしていない?
A:誤解です。 指数表示は日本では任意のため、表示していないだけで、実際には高い自然由来率の製品も多く存在します。表示の有無と品質は直結しません。
自分に合ったナチュラルコスメの選び方
認証の有無を重視したい方
COSMOS、ECOCERTなどの認証マークがある製品を選ぶと、第三者審査を経た明確な基準をクリアしていることが確認できます。
指数表示を参考にしたい方
「自然指数」「自然由来指数」の表示がある製品では、どの指数か・水を含むかを確認した上で、複数商品を比較する材料として活用しましょう。
表示に頼らず成分表示を確認したい方
指数表示や認証マークがなくても、成分表示の上位に具体的な植物名が記載されているかを確認することで、ある程度の実態を推測できます。
まとめ
ISO 16128は、化粧品の自然・オーガニック度合いを数値化するための「計算方法」の国際規格であり、「この数値を超えれば合格」という基準そのものを定めたものではありません。その閾値を明確に設定し、審査・認証というかたちで表示を制限しているのがヨーロッパのCOSMOSやECOCERトであり、日本にはそれに相当する強制力のある仕組みがまだ整っていません。
この記事のポイント
- ISO 16128は指数の「計算方法」の規格であり、合否基準ではない
- ヨーロッパはCOSMOS/ECOCERTなどの認証団体が独自の閾値(例:オーガニック成分95%以上)を課し、表示を制限している
- 日本にはJCIAの任意ガイドラインはあるが、表示を制限する強制力はない
- 「95%」という数字だけで判断せず、どの指数か・第三者認証の有無かを確認することが重要
今日からできる最初の一歩
まずは手元のナチュラルコスメのパッケージを確認してみましょう。
- 指数表示があるか、あればどの指数かを確認する
- 認証マーク(COSMOS、ECOCERTなど)の有無を確認する
- 当店の成分開示ページを見てみる
数字や表示の意味を正しく理解することが、納得感のあるコスメ選びにつながります。
参考情報(記事内で言及した出典):
- 日本化粧品工業連合会(JCIA)「ISO 16128に基づく化粧品の自然及びオーガニックに係る指数表示に関するガイドライン」
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